医療法人とつか眼科

名古屋市南区にある眼科クリニック。とつか眼科。

TEL.052-613-4001   〒457-0808 名古屋市南区松下町1丁目1番地

疾患Q&A

72. ヘモグロビンエイワンシー(HbA1c) 201305

 私は糖尿病で数年前から内科に通院しています。内科の先生から糖尿病はよくなっていると言われていましたが、眼科を受診しろと言われて行ってきました。眼科の先生からヘモグロビンエイワンシーはいくつですかと聞かれたのですが、そんなこと知りません。内科で血糖を測った時には、130と言われて良いとばかり思っていたのですが、眼科では眼底出血があると言われてしまいました。ヘモグロビンエイワンシーって何ですか?糖尿病の治療がうまく行っていると聞いていたのに、眼底出血してしまうなんてあるのでしょうか?(58歳、男性)

 人の血液にはヘモグロビンという、赤血球の中のたんぱく質があります。これは全身へ酸素を運ぶものですが、血液中のブドウ糖が増えるとこのヘモグロビンとブドウ糖がくっついてしまいます。これをグリコヘモグロビンと言いますが、グリコヘモグロビンの代表がHbA1c(ヘモグロビンエイワンシー)と呼ばれます。正常値は6.2%以下(2012年より前の日本独自の基準値であるJDS値でいうと5.8%以下)です。このHbA1cは、1か月から2か月の平均血糖の状態を表していて、糖尿病のよい指標とされます。普通の血糖値は、空腹時には低く、食後に上がるというように食事の影響を受けてしまうのに対して、HbA1cは、食事の影響を受けません。食事の影響を受ける血糖値に一喜一憂するよりも、HbA1cを調べてもらうことにより、1~2か月の血糖管理状況が明らかになります。是非、この値を記憶していただいて、眼科医へ伝えてください。糖尿病網膜症(糖尿病による眼底出血)の進行は、血糖の管理が悪いほど、言い換えればHbA1cが悪いほどひどくなる傾向があります。ただし、HbA1cが正常、つまり糖尿病が治ったようにお薬でよくなったとしても、網膜症が重症となってしまうことは時に起こります。網膜症の問題点は、失明するほどひどい状態まで進行しない限り視力低下などの自覚症状があまり出ないことです。ですから、一度糖尿病と診断された場合には、血糖値がほぼ正常になったとしても定期的に眼科への通院も怠らないようにしてください。

71. まぶたが下がった 201304

 私の70歳になる母親ですが、瞼(まぶた)が下がっているように思います。両方とも下がっていますが、右眼の方がよけいにひどいように見えます。10年前にはもっと大きな目だったように思いますし、本人も少し気にしていて、瞼を手で持ち上げると見易くなると言います。年齢性のものでしょうか。瞼が下がってしまうだけの病気もあるのでしょうか。眼科を受診するべきか教えてください(37歳、女性)

 瞼が下がってしまっている状態を、眼瞼下垂と呼びます。眼瞼下垂となる原因は、加齢によるもの、先天性のもの、瞼の炎症も含めた機械性のもの、重症筋無力症、Horner症候群という交感神経の障害によるもの、ケガによる外傷性のもの、動眼神経麻痺によるもの、眼瞼痙攣によるもの、偽下垂といって眼球の縮小や眼球陥凹に伴うものなどがあります。このうち最も心配なのは、動眼神経麻痺によるものですが、これは発症が突然であり、同時に瞳が大きくなったり眼が動きにくくなったりします。動眼神経麻痺の原因には、脳動脈瘤ということがあり生命に危険がありますからすぐに対処が必要です。重症筋無力症では、起床直後の下垂は目立たずに、夕方や疲労時に悪くなることが特徴です。相談者の場合には年齢性のものが考えられますが、一度眼科を受診してみてはいかがでしょうか。年齢性のものでも左右差があることもよくあります。特に原因となる病気が見つからない場合の後天性眼瞼下垂では、瞼を上げている筋肉を短縮する手術治療で比較的容易に眼瞼下垂を治すことが可能です。また、眼瞼皮膚弛緩症といって、瞼の皮膚がたるんでしまっている場合には、余剰な皮膚を切除するだけでも見た目上腫れぼったくなっている瞼を治すことができます。いずれも局所麻酔で、強い痛みを感じることはなく手術可能です。

70. 円錐(えんすい)角膜(くろめが飛び出る病気って?) 201303

 最近かなり見えにくくなってきたので、メガネ屋さんに行きましたところ、視力が出にくいので、眼科受診を勧められました。眼医者さんでは、円錐角膜と言われました。右眼が強い乱視になっていて、くろめが飛び出てくる病気ということでした。ハードコンタクトレンズを勧められましたが、つけないといけないでしょうか?今のところ見えにくいだけなのですが、いずれは痛くなったりするのでしょうか。他に治療方法はないのでしょうか。(23歳、男性)

 円錐角膜は角膜を構成する細胞層に異常をきたし、前方に突出した形になってしまう病気です。欧米では女性に多いとされますが、日本では男性の方がやや多いとされます。20歳代で発見されることが多いですが、進行は人により様々であると言われています。原因不明の病気ですが、まれに遺伝性のものがあり、アトピー性皮膚炎の方には合併しやすいと言われます。多くは両眼性ですが、進行には左右差があるのが普通です。円錐角膜では角膜が変形していくため、不正な乱視になります。乱視が軽度なうちは、メガネでも矯正が可能ですが、進行すると強い乱視となり、ハードコンタクトレンズでなければ矯正できなくなります。また、ハードコンタクトレンズをつけておくことが、進行予防にもなると考えられています。さらに進行すると特殊なハードコンタクトレンズも装用できなくなってしまいます。経過中には、急性角膜水腫といって角膜が急に水ぶくれの状態になることがあります。こうなると痛みが出ますが、通常は特殊な治療をせずとも角膜水腫の前の状態にある程度回復します。失明することはありませんが、進行すると矯正視力が出にくくなります。コンタクトレンズ装用ができなくなったり、矯正視力が出にくくなったりした場合に、視力を回復させるには手術治療が必要となります。最終的には角膜移植しかありませんが、近年では、角膜内リング挿入という手術や角膜クロスリンキングという新しい手術も試みられるようになってきました。

69. オルソケラトロジー(夜中にCLつけて裸眼で生活って?) 201302

 先日テレビを見ていましたら、つけたまま寝るコンタクトレンズがあり、それで近眼が治ってしまうというお話でした。小学校5年生の息子はサッカーをやっているのですが、メガネをかけることはヘディングする時に危ないと思っていますし、コーチからも禁じられています。コンタクトレンズは近所の眼医者さんからは小学生には勧められないと言われ困っていました。裸眼で見えるならこんなにうれしいことはないのですが、夜中にコンタクトレンズをつけていて危険はないのでしょうか。詳しく教えてください。(33歳、女性)

 この方法はハードコンタクトレンズを睡眠中だけつけておくことにより、角膜(くろめ)を変形させて近視を治すものです。オルソケラトロジーと言います。2週間ほどつけると安定して、起床後から就眠前まで裸眼の良い視力を保つことができます。但し、睡眠中の装着は毎日必要となります。あまり強い近視や乱視の方は矯正効果が不十分です。オルソケラトロジーは数十年の歴史があり、日本にも導入されていますが、日本眼科学会では、安全性の問題からオルソケラトロジーの適応を20歳以上としてきました。この基準に従い、私自身も今まで日常診療では20歳以下には勧められないとしてきました。現在まで、近視の進行予防としてエビデンスのある方法はあまり無く、近距離の作業を控えて戸外で遊ぶことが推奨されていました。しかし、近年我が国の研究結果で、オルソケラトロジーに近視の進行予防効果があると認められました。今後は、安全面に注意して学童へのオルソケラトロジーが推奨されていくと思います。ちなみに私自身も現在毎日使用していますが、洗浄消毒をしっかり行えば危険性は低いと考えています。また、成人してから使いだすよりは学童期に用いることに意義があると思います。矯正効果も高いです。ただし昼間にコンタクトレンズを装用するのと同程度にトラブルは起こる可能性があると考えてください。

68. 角膜潰瘍 201301

 先日、母親の目が赤くなって眼科を受診したところ、角膜潰瘍と言われました。特にケガをした記憶が無いのですが、くろめが深くえぐれてしまっているとのことでした。2種類の目薬をいただいてさしていますが、すでに1週間が経ち2度受診しました。まだあまり良くならないようで、充血があり異物感を訴えます。眼科の先生はあまり詳しく教えてくれないのですが、ゴミが入ったりぶつけたりしていなくても勝手にえぐれてしまうことってあるのでしょうか。インターネットで調べると後遺症も残るようなことも書いてあり、心配です。(28歳、女性)

 一般に角膜潰瘍とは、角膜(くろめ)の上の方だけではなくて中の方までえぐれてしまったものを言います。おっしゃるように異物が刺さったり、鋭利なもので傷をつけたりした後に細菌がくっついて潰瘍ができることがあります。ケガの既往が無くても細菌に対するアレルギーの反応で角膜潰瘍となったり(一般にカタル性角膜潰瘍と呼ばれます)、慢性関節リウマチなどの膠原病の場合には免疫の異常により広範囲に潰瘍ができたりする場合があります。また、コンタクトレンズ(以下CLと略します)装用者では、自然に潰瘍(角膜浸潤)ができてしまう場合があります。これは酸欠や機械的な刺激とアレルギーが影響していると考えられます。またCL装用者では小さい傷が出来てから病原菌が入って潰瘍ができることがあります。角膜潰瘍では、原因にあった治療をします。病原微生物による場合には抗微生物剤や角膜保護剤の点眼を用います。免疫やアレルギーの関与が強い場合にはステロイド剤の点眼を併用することがあります。潰瘍部分をこすってから病原菌を見つけようとすることもあります。ただ、原因がはっきり断定できないことがあり、この場合には治療をしながら診断を進めていくことになります。角膜潰瘍では、その部分の角膜に瘢痕を残し、不正な乱視の原因になり永久の視力障害を残すことがありますので、早期の診断と治療が大切です。今後も完治するまでしっかり通院してください。ステロイドの点眼など副作用の強い目薬が処方されている場合がありますので、調子がよいからと言って診察を受けずに目薬をさし続けることは絶対にしないようにしてください。

67. 色覚異常 201212

 中学2年生になる娘のことです。小学校の高学年で先天性色覚異常と診断されました。小さい頃は全くわからなかったのですが、小学校高学年になって担任の先生のお勧めで眼科を受診して発見されました。私の父親とは生別で知らなかったのですが、父親が色弱だったとのことです。その遺伝子を私が受け継いでいるようですね。娘は軽症ということですが、進路について悩んでいます。大学は好きなところには行けないのでしょうか。色覚を改善させる方法はないのでしょうか。日常生活で注意することがあれば教えてください。(40歳、女性)

 色の見え方や感じ方には個人差があり、色覚の検査で大多数の人とは異なった結果を示す人を、医学的に「色覚異常」と診断しています。つまり、「色覚異常」は色の見え方の個人差を表す医学的名称と言えます。先天性の色覚異常(ほとんどが先天赤緑色覚異常)は日本人では、男性の5%、女性の0.2%にいるとされ、稀な状態ではありません。女性の場合には保因者(先天赤緑色覚異常の遺伝子を持っている人)の頻度は10人に一人とされています。普通自動車の運転免許の取得は可能ですし、どの大学にも原則的に進学可能です。職業を考えるにあたっては、娘さんの希望を最優先にすればよいと思いますが、飛行機のパイロットや自衛官、警察官などは制限を受ける場合があります。また、難しい配色を見分ける必要があるものは、現実には苦労することも予想されます。制限はなくなりつつありますが、仕事の内容については少し考えてみることもよいと思います。先天色覚異常に対して科学的根拠がある治療法は現在のところありません。時に治ったという話を聞くかもしれませんが、練習によって検査表が読めるようになったり、精神的に改善されたりしたというようなことであり、医学的に先天色覚異常が治ることはありません。ただし、悪化することもありません。日常生活では、見分けにくい環境を作らないようにしてあげるとよいです。似たような配色のものは肌触りや形を変えたものにするとよいでしょう。色以外の情報つまり手触りや模様などで見分けやすくするという方法です。照明が暗いとわかりにくいですから薄暗い場所は明るくしてあげることも大切です。現在、学校や社会では色のバリアフリーを目指して環境改善が行われています。色覚異常について正しく理解して偏見をなくし、色覚異常者が不利益を被ることのない社会をめざすことが、これからも大切です。

66. 網脈動脈閉塞症 201211

 私の父のことです。2週間前に突然右目が見えなくなったそうです。2日後に眼科を受診したところ、網膜中心動脈閉塞と言われ、回復不能と言われました。父は今まで元気でこれといった病気もしてなかったのですが、どうしてこんなことになってしまったのでしょうか。数日間点滴をしたそうですが、全く回復しませんでした。今は中心部分が見えず、外側に見えるところが少しあるだけということですが、眼鏡を作りなおしてもダメでしょうか。手術はできないのでしょうか。もう片方の目が同じように見えなくなってしまうことはないのでしょうか。(38歳、女性)

 網膜中心動脈閉塞症は、網膜を栄養している最も重要な中心の動脈がつまってしまい、網膜に血液がいかなくなってしまうものです。脳の血管が詰まった脳梗塞では、麻痺などの重症な後遺症が残ってしまうように、網膜の血流が途絶えると、非常に早く網膜の神経細胞が機能しなくなり、死んでしまいます。高度の視力低下をきたし、メガネや手術でよくなることはありません。血液が途絶えてからすぐにまた血流が戻れば、回復することもあります。この時間は数時間以内とされています。従って急激に視力低下を自覚してから、完全閉塞の場合1日以上たってしまうと回復することは難しいのが現状ですが、不完全閉塞の場合には回復することがよくあります。発症早期であれば血の流れを回復させるために、眼のマッサージをしたり、血栓を溶解するような点滴をしたり、眼の一部に穴をあけて眼圧を下げたりすることもあります。血流が途絶える原因としては、血の塊や脂肪の塊が動脈につまってしまったり血管が痙攣して収縮したりすることとされます。動脈硬化が基礎に考えられていて、高血圧や糖尿病などの全身疾患があることも多いですが、何ら基礎疾患がないこともあります。ですがやはり、若年者よりも高齢者がなりやすい病気です。血管の一部に奇形(5~10人に一人程度と言われます)があり、中心視力が低下しないこともあります。また、網膜動脈分枝閉塞症といって、中心動脈が閉塞するのではなく、その枝の細い動脈が詰まる場合もあります。この場合には閉塞した領域に応じた網膜が障害を受けて視界の中に一部見えない領域ができますが、失明することはありません。不幸にして、両眼とも網膜中心動脈閉塞症になる方もいらっしゃいますが、非常にまれです。網膜動脈閉塞症は、痛みや充血を伴わず、視力が下がるだけが唯一の症状ですから、急激に全く見えなくなった場合には、可及的速やかに眼科を受診して下さい。

65. 後発白内障 201210

 71歳になる私の母親の眼のことです。1年ほど前に右眼の白内障の手術をしましたが、最近見えにくくなってきたとのことで、久しぶりに私も付き添って、母の眼科の診察に伺いました。すると、後発白内障と言われ、レーザーで手術が必要と言われました。手術してまだ1年あまりなのですが、そんなに早くまた問題が起きてくるものなのでしょうか。反対の左眼は、他院で手術してもらってすでに10年が経つのですが、見えにくいとは言いません。どうして右眼だけさらなる治療が必要になってしまったのでしょうか。1年前の手術に何か問題があったのでしょうか?レーザーの手術は数分で終わるとのことでしたが、受けてもかまわないでしょうか。(42歳、男性)

 現在の白内障の手術は、水晶体という濁った組織を取り去って眼内レンズを入れるものです。通常この濁った水晶体の全てを取り去ってしまうわけではなく、水晶体のまわりの薄皮(水晶体嚢と呼びます)は眼内レンズを包み込むように、深いお皿状に残します。この残しておいた水晶体嚢に濁りが生じて見えにくくなった場合を後発白内障と言います。厳密な意味では、時間的な問題はあるにしろ白内障の手術をするとほぼ100%いずれは後発白内障になります。程度の問題といえます。ただし、術後の炎症が強い場合や術中合併症があった場合には数週間から数カ月で後発白内障が生じてしまう場合があります。また、眼内レンズの性質によっては、後発白内障が発生しやすいタイプのものがあります。白内障の手術中に水晶体の細胞の取り残しが多かった場合も早く発生する可能性があります。手術した先生に何か問題があったのか聞いていただければよいと思います。ただし、1年以内に生じてしまった場合でも特にこれといった原因が特定できない場合の方が多いと思います。また、後発白内障の手術は一般的にはレーザーを数分あてるだけで、簡単に済むものです。翌日には白内障手術後の見易い状態に戻っていますので、安心して後発白内障の手術をお受けになってください。レーザーによる後発白内障手術でなく、実際に器具を眼の中に入れて行う場合もありますので、この場合はどうしてそうしなければならないのかを主治医にお聞きになるのが良いと思います。

64. 心因性視覚障害 201209

 小学校5年生の女児です。学校の健診で受診のお勧めをもらい、眼科を受診したところ、心の問題の可能性があると言われました。学校では昨年まで両眼ともAだったのですが、今回急に 両眼ともCをもらいました。眼科の視力検査でも0.3と0.4とのことでした。何回か受診したのですが、特に目の病気は無いとのことで、心の問題から来ているという説明でした。特に思い 当たる節は無いのですが、どんなことが考えれれるのでしょうか。どのようにすべきか教えてください。(40歳、女性)

 視力の低下を説明するに足りる器質的病気が無く、視力低下の原因として精神的心理的要因を考慮しなければならない状態を「心因性視覚障害」と言います。小中学校の高学年の女の子に 多いとされていますが、男の子でもあります。発症の原因はその子を取り巻く心理的環境にあるとされます。家庭環境や学校生活、塾や習い事、などです。親との関係や兄弟との関係、 友人関係、先生との関係などさまざまな人間関係も考えられます。中にはメガネをかけることにあこがれているということがきっかけの場合もあります。いずれにしろ、もっと自分に 注目して欲しい、さびしい、つらい、などというような心理的ストレスが原因となって、視力障害という形でSOSを発信していると考えられます。視力低下のわりに日常生活では全く 不自由そうにしていないことも特徴の一つです。しばらく通院しているうちに視力が戻ることが多く、これは通院に通い子供とのスキンシップが増えることがよい効果をもたらしている ように思います。お子さんと色々とお話しして悩みを聞いてあげることもよいと思います。しかし、心因性視覚障害が疑われる患者さんの中には、本当の眼の病気が見つかることがあり ますので、器質的疾患の原因検索は、しっかりと行われなくてはいけません。複数回通院して、網膜電図や視覚誘発電位といった眼科的電気生理学的検査や、CTやMRI検査などの頭部の 画像診断も時に必要です。また、心因性視覚障害であるにもかかわらず、長期間にわたっても視力改善が得られない場合には、児童精神科医や心理カウンセラーなどとの連携も考える必要 があります。

63. 星状硝子体症 201208

 健康診断で眼科の項目に精密検査が必要とされ、眼科を受診しました。すると、星状硝子体症(せいじょうしょうしたいしょう)と言われました。眼の中に黄色いものが多数あると言うこと ですが、そのまま放置してよいと言われました。自分自身は、見にくくもありませんし、全く自覚症状はありません。眼の中の写真を見せていただきましたところ、黄色い物質が無数にあって なぜ見えにくくないのか疑問に思うほどでした。原因は何でしょうか。治療法を考える必要はないと言われましたが、何か気をつけることはありますか?(55歳、男性)

 星状硝子体症とは、硝子体(水晶体の後ろから網膜までの間のスペース)に、カルシウム(リン酸塩)を主体とする結晶が、無数に浮遊した状態です。眼を動かすと硝子体ゲルが動きますので、 この黄色いつぶつぶも動きます。光で照らして診察すると、この硝子体内の混濁が満点の星空の様に見えることから、星状硝子体症の名前があるとされています。原因はわかっていませんが、 糖尿病や高脂血症との関連があるとする報告もあります。しかし、そうでないとする意見もあります。片眼性のことが多いですが、両眼性の方もいらっしゃいます。稀な病気ではなく、人口の 2000人に1人~200人に1人いると言われています。その先生がおっしゃるように治療の必要はありません。自覚症状もほとんどないことが多いです。注意する点は、他の病気、例えば糖尿病 網膜症や網膜上膜(この携帯サイト原稿Q&ANo.33を参照)などで、硝子体手術が必要になった場合には、その手術は少し難しくなるということです。これは、星状硝子体症の方の 硝子体は、年齢で起こる変化が起きにくいためです。それ以外は、特に気にする必要はありません。自然に消えてしまうことはないようで、眼底写真をとられると、その度に要精査となる 可能性がありますが、特に心配ありません。