医療法人とつか眼科

名古屋市南区にある眼科クリニック。とつか眼科。

TEL.052-613-4001   〒457-0808 名古屋市南区松下町1丁目1番地

疾患Q&A

115.遠近両用かそれとも別々にメガネを二つ持つべきか?  201612

  52歳のサラリーマンです。普段は近眼のメガネをかけています。メガネをかけてしまうと遠くは見えるのですが、近くが見にくいです。ただメガネを外すと物をかなり近くに持って来ないと見えにくいために、遠近両用メガネを買おうと思っています。遠近両用を買うのと別々に買うのとでは、どちらが良いのでしょうか?(中年男性)

眼の状態が遠視であったり近視や乱視があったりすることにより、裸眼の見え方が違うので言葉では伝えにくいのですが、大まかに言えばどちらも必要です。学生さんが講義を受けるように、黒板を見てそれをノートにとる、つまり遠くを見て直ぐに近くを見るということを頻繁に繰り返すには、遠近両用メガネが必要です。一方車を運転し続ける場合や舞台やお芝居や映画館などで観劇もしくは鑑賞する場合には、遠用単独の方が見易いです。また、本を長時間見続けたり編み物やパズルなどを長い時間おやりになったりする場合には、近用単独のメガネ(いわゆる老眼鏡)が絶対お勧めです。遠近両用眼鏡でも、近くを見ることはできますが、ピントの合う範囲が狭いのです。遠近両用眼鏡では、視線を動かすには顔ごと動かさなければならなくなるので、ずっと近くの作業をし続ける場合には疲れやすくなります。遠用眼鏡、近用眼鏡、遠近両用眼鏡の3つを全て持っていると良いでしょう。その3つを作った後に、中近眼鏡や近々眼鏡をお作りになるのが良いと思います。遠視の方が、中年以降初めて眼鏡を作るときには、近用鏡(老眼鏡)を作るのではなく、遠視のための遠用眼鏡を作るべきです。遠近両用眼鏡の中には、多く普及している累進屈折力レンズのほかに、エグゼクティブタイプと呼ばれている中央に線があり焦点が真に二分されているレンズがあります。見かけはあまりよくないです(近年は見かけもよいです)が、このレンズはとてもお勧めです。私(55歳)もとてもよく使っています。その他、眼鏡が必要と思ったときに眼の病気が見えにくさの原因のこともあるため、眼鏡を作る前には必ず眼科を受診してしっかりとした診断と眼鏡についての指導をしてもらってください。

114.メガネのフィッティング   201611

  自分に合ったメガネを選ぶには、どんな点に注意すればいいですか? (17歳女子)

ここでは度数ではなくフィッティングだけを問題にします。メガネのレンズには光学中心というレンズの特性の最も良い点を引き出す中心点があります。視線はいつも一定方向を固視しているわけではないために、常に光学中心で見続けることは困難ですが、やはり、正面を向いた時にはほぼ光学中心もしくは光学中心のわずかに上に視線が来るように顔にのっていることが大切です。光学中心は、通常レンズ枠の中央から数mm程度下にあることが多いです。簡単に言いますとメガネをかけた顔を正面から見て、レンズのほぼ中央のわずかに上に、くろ目が見えるようになっていると良いです。くろ目がメガネ枠に近い場合には、光学中心からかなりずれている可能性があります。また、レンズ面は、角膜頂点(くろ目の中央)から12mmの高さにある場合に、よく見えるようになっています。目をつぶってメガネとまぶたの間に指を入れようとすると、レンズ面やまぶたに擦ってしまうのが普通で、どこにも擦らずに楽々入ってしまうようでは、高すぎると考えて良いです。また極端にまつ毛が長い場合を除いて、常にまつ毛でレンズが汚れてしまう場合には、レンズが目に近すぎると考えて良いでしょう。その他にも、メガネの形状によっても、注意が必要な場合があります。メガネ枠を選ぶ前に、その枠をかけて鏡を見て顔に合いそうか、くろめが枠にかかってしまわないか、などを自分で確認し、その枠を選択してよいのかどうか、正しいフィッティングにできるかどうかを眼鏡士さんに相談されると良いでしょう。つるの長さやパッドの調整で良いフィッティングにできる場合もありますし、物理的に難しい場合もあります。鼻根部の方が前に出ていて耳側がへこんでいるような形状のメガネでは、レンズ中心をずらさないとうまく見えないメガネになってしまうため、注意が必要です。その他に、メガネの下枠のほうが、顔に近い設計になっていて、垂直面からの角度を前傾角と呼びますが、遠用眼鏡であれば、5~10度程度、老眼鏡であれば10〜20度程度とされています。また、メガネができてきましたら度数が適切かどうかも含めてフィッティングを、眼鏡処方箋を発行してくれた眼科医に見てもらうことをお勧めします。

113.メガネの掛け外しと併用    201610

  メガネはかけたり、 はずしたりしないほうがいいですか?また、新しいメガネと古いメガネを使い分ける(併用する)のは目によくないですか?(37歳母親)

 
遠視(遠視性乱視)や弱視治療中の場合には、寝ている時以外常時装用が基本です。外さないほうが良いです。入浴もそのままとして洗髪時のみ短時間外す以外は常用してください。プールでは度数の入ったゴーグルをすることも出来ます。近視(近視性乱視)の場合には、かけたり外したりして構いません。特に軽度の近視の場合に、裸眼で30cm以内の距離が見えれば長時間の近業は外したままやったほうが良いという考えもあります。ただし、過矯正になっていない適正なメガネであればかけたまま生活しても外したまま生活しても、近視の進行具合に変化はないと言われています。
遠視(遠視性乱視)の場合には、古いメガネは度数的にはおそらくやや強いと考えられます。新しいメガネは度数的には少し弱くなっていることが多いので、古いメガネは使いにくくなります。遠視の矯正として強いメガネをかけていても問題ありませんが、室内ならよくても屋外など広い空間では歩きにくかったり遠くを見にくく感じたりします。近視の場合には、遠視の逆で、古いメガネというのは度数的に弱く、新しいメガネというのが強いメガネになっていると思います。したがって両者の併用は、問題ありません。遠方をしっかり見たい場合のみ、強いメガネをすることが理想的と考えます。ただし、古いメガネを作ってから数年経過していると、乱視や近視の度数がかなり変わってしまっている場合がありますので、実際に古いメガネを時々装用して良いかどうかは、主治医の(眼科の)先生にお尋ねになってください。また古くなったメガネは、レンズの傷や汚れなどが原因で見えにくくなっている場合もあります。特に常用が必要な弱視治療中では、レンズの状態やフィッティングのチェックも大切です。
 上記は、未成年者(学童期)を想定していますので、成人以降は、この限りではありません。また、斜視やその手術後、あるいは他の疾患がある場合も、眼科医にお尋ねになる方がよいです。

112.メガネとコンタクトレンズの矯正と度数進行    201609

  メガネとコンタクトレンズの違いを教えてください。(32歳女性)

 遠視(遠視性乱視)の場合には、常用していないことで弱視の治療にならなかったり、斜視になったり、目の疲れの原因になります。つまりメガネであってもCLであっても、遠視の場合には常に装用していることが大切です。つけていること自体が治療となっています。遠視のメガネ装用を数年続けている患児の中には、時に外している方が楽だという訴えを耳にします。遠視が軽くなってくると起こりうる症状です。しかし、この場合にも外したままにしてしまってもいい状態なのか、楽ではないけれども常用しておく必要があるかどうか、主治医の先生にお尋ねになってください。遠視の度数が強すぎても、度が進むことはありません。以上のような理由から、遠視(遠視正乱視)でメガネやCLを使用している場合には、定期的な眼科通院が望ましいです。
近視の場合には、適切な度数であればつけていることで近視が進むことはないとされています。しかし、過矯正のメガネを長時間かけていると近視の進行を助長します。同時に、眼痛や頭痛や肩こりなどの原因になります。また、軽度の近視で、メガネやCLをつけていなくても近くの作業ができる程度の場合に、つけたままで長時間の近業(近距離での作業)を続けることは、近視の進行を促す可能性が考えられています。近視の方では、遠方が見えにくいことを我慢してメガネやCLを使わない状態でいることで、近視は進みませんが、目を細めたり眉間にシワを寄せたりするなどして表情が悪くなることがあります。児童では、黒板が多少見えにくくても、親御さんに訴えないこともしばしばあります。黒板の字が見えにくければ、勉強への関心が薄れてしまったり、集中できなかったりしますので、メガネをかけさせないで我慢しすぎることに利点はありません。親御さんの中には、一度メガネを作ると、近視がどんどん進行してしまうと思っていらっしゃる方が時にいらっしゃいます。上記の理由からこの考えも間違いであることがお分かりになると思います。繰り返しになりますが、正しく矯正された近視のメガネをかけることで近視は進みませんが、過矯正のメガネやCLを作らないようにしましょう。

111.メガネとコンタクトレンズ    201608

  メガネとコンタクトレンズの違いを教えてください。(32歳女性)

 どちらも屈折異常を矯正できる医療用具です。それぞれにわけて述べます。メガネの長所は、まず、屈折異常以外の病気例えば、結膜炎や眼に傷がついたときなどにも使える点です。次に、ケガを予防できることです。小さい異物が前方から入るのを防ぎます。また、メガネの上から打撲した場合には、眼球への直接的な外力が少なくなり、その結果目のケガの程度が軽くなる可能性があります。もちろんメガネの上から打撲して、ガラスが割れそのガラスで目に傷を作ることもありますが、それほど頻度の多いものではありません。特にフレームがしっかりしているものは、目を守ってくれます。また、紫外線や有害光線から目を守ることができることも挙げられます。一部のコンタクトレンズ(以下CLと略します)にも紫外線をカットしてくれるものもありますが、多くのCLにはありません。また、最近話題のブルーライトを抑えるようにすることもできますし、サングラスや調光レンズなど、眩しさ軽減にも使えます。ドライアイ対策や防塵用のものなど、特殊なものも作られています。もちろん、メガネをおしゃれに利用することもできます。一方短所は、柔道やレスリングなど顔が擦られるスポーツや極端に激しい運動では、メガネがずれてしまうことやメガネがケガのもとになってしまう可能性があります。また、湿度が極端に高くなったり、急激な温度変化を生じたりした場合には曇ってしまうことが挙げられます。
一方CLの長所と短所は、メガネの逆になります。ソフトCLでは激しい運動にも耐えられますし、色つきのCLではおしゃれに利用することが可能です。また、一部の病気ではCLでないと視力が出せない場合や角膜の穿孔などで病気を治すために使用することがあります。メガネが曇ってしまう環境下でも曇ることはほとんどありません。一方で、装用そのものが病気を作ることが短所の一つです。またハードレンズソフトレンズとも、外傷の予防効果はありません。多くのCLは、紫外線などの有害光線から守ることもできません。多くの眼疾患ではCLの装用が病気を悪化させることがあります。また、無症状でも医療機関への定期的な受診をしていないと、正しく装用していてもおよそ10人に1人の割合で病気になりますし、失明につながる病気を起こすことがあります。
その他に、オルソケラトロジーという特殊な方法では、睡眠中にCLをはめることにより、それ以外の時間を裸眼で過ごすことができ、近視の進行を防ぐ作用のあるものもあります。

110. ドルーゼン   201607

 70歳になる私の母のことです。1ヶ月に1回、白内障の手術をする前から通院しているようです。なんでも眼底に老廃物がたまってきたとのこと、「ドルーゼン」と呼ばれあまり増えると良くないと言われてしまいました。ドルーゼンとは何でしょうか?何か注意しておくことはありませんか?本人は今はよく見えて困っていないようですが、将来を心配しています。やっておくと良いことがあれば教えてください。(40歳娘)

 ドルーゼンというのは、眼底にみられる黄白色の小円形隆起病変を指します。いろいろな種類のものがありますが、その先生が言われました通り、通常は眼の底にたまる老廃物と考えられています。眼底写真を見せていただいたのかもしれませんが、オレンジ色~赤茶色をした眼底の中に見える黄色い点々です。以前は、小さくて辺縁が比較的明瞭なものを硬性ドルーゼンと呼び、やや大きめで辺縁が不鮮明なものを軟性ドルーゼンと呼んでいました。現在では、大きさで分けることが多いと思います。眼底の最も太い血管の直径は、約125μmなのですが、ドルーゼンの長径がこの大きさの半分以下つまり63μm未満のものを硬性ドルーゼン、63μm以上のものを軟性ドルーゼンと呼びます。加齢に伴い、ドルーゼンがみられることは多くなっていきます。硬性ドルーゼンが、少数みられても心配ないとされています。一方、軟性ドルーゼンが多く見られるようになると、加齢黄斑変性症という病気が出現しやすくなります。加齢黄斑変性症については、別に詳しく記載しますが、網膜の中心に出血したりむくみが出たりして、高度に視力が低下してしまう病気です。近年増加傾向にある病気で、失明率の高いものです。軟性ドルーゼンの中でも比較的大きいものが多数出現している状態や、長径が125μm以上の大型のドルーゼンが出現してきた場合には、加齢黄斑変性症の出現がとても危惧されます。従いまして、眼底にドルーゼンが見られた場合には、定期的に眼科を受診して加齢黄斑変性症が出現してきていないかどうかをチェックすることが大切です。特に大きめのものがみられるようになったり、片眼がすでに黄斑変性になってしまっていたりする場合には、特定のサプリメントが勧められています。眼科の主治医によく聞いてみてください。

109. 前房出血  201606

 中学校2年生の男の子です。先日、野球のボールが右目に直撃して、その後から見えなくなったそうです。近くにある眼科を受診したところ、前房出血と言われました。目の中の出血だそうですが、どこから出たのでしょうか。安静が必要と言われたのですが、いうことを聞かず、動き回ってしまっています。体育も禁止と言われたのですが、どの程度安静が必要でしょうか?痛みはなくなってよかったのですが、もう3日も経つのに本人は全く見えるようになっていないと言います。大丈夫でしょうか?(45歳母親)

 前房出血とは、眼球の内部、くろ目の裏側に血が溜まってしまうものです。症状はその程度により様々ですが、多めに溜まりますとほとんど見えなくなってしまうこともあります。原因は、瞳を形作っている虹彩という組織のつけ根部分に断裂が生じて出血するものです。虹彩の付け根部分は正式には毛様体といって血管がとても多い組織で、強く打撲した場合によく起こります。他にも特殊な疾患では自然に前房出血が起きることもあります。瞳が大きくなったり小さくなったりするように、虹彩や毛様体は筋肉としての働きから、とてもよく動く組織です。再出血の予防や早期吸収を促すために、瞳の運動を止める目薬を使ったり、止血剤を投与したりすることもあります。安静度は重症度にもよりますが、トイレや洗面などを除き動かないようにする絶対安静が良いです。安静目的に入院してもらうこともあるほどです。動き回って体動が増えるほど、再出血しやすくなります。大量の出血が長時間くろ目の裏側にあり続けると角膜染色と言って、くろ目が赤く染まってしまうことが稀に起こります。また、前房出血から続発性緑内障となってしまうことがあります。医師に言われた通り、できる限り安静にしてください。出血の吸収とともに見えるようになってくると思います。多くの場合は後遺症を残さずに治りますが、場合によっては、断裂した部分を手術して固定しなければならないこともあります。出血が引いてから眼の奥の病気が見つかることもありますので、視力が回復しても通院を続けてください。

108. 強度近視の合併症 201605

 小学生の頃から近視になって、どんどん進んでしまいました。現在52歳の事務職員です。先日、飛蚊症を自覚し近くの眼科を受診しました。それについては、加齢によるもので心配ないと言ってもらえましたが、私のような強度近視の人は、いろいろな目の病気を起こすことがあるので、気をつけなさいと言われました。どんな病気が出るのでしょうか。また、どんなことに気をつければ良いのでしょうか。教えてください。(52歳女性)

 まず、強度近視の説明から始めます。近視という状態は、近くは見えますが遠くが見えにくい屈折の異常です。強度近視というのは、近視が強い方で、正確には-6ディオプター以上の近視の方を言います。裸眼では、眼前の約17cm以内に物体を近づけないとはっきり見えない状態です。通常この強度近視の原因は眼の長さ(前後径)が長くなってしまうことによります。この形の変化により様々な眼疾患が起こりやすくなると言われます。正確な頻度は私にもわかりませんが、網膜剥離、緑内障、白内障、眼底出血、黄斑変性などの病気が出やすくなります。どの病気も進行すれば失明につながることがありますので、その先生が言われるように気をつけておくべきです。まず、眼に異常を感じたら先延ばしにしないで速やかに眼科を受診することです。特に中年以降(40歳過ぎ)の強度近視の方は自覚症状がなくても一度眼科を受診して、眼の疾患がないかどうか調べることをお勧めします。日本人の場合には強度近視でなくとも40歳過ぎの方には20人に1人程度緑内障の方が見つかります。一度受診して問題ないと言われましたら、その先生のお勧めの方法で検診をされていけば良いかと思います。その上で、眼の病気が出易いことを忘れずに、何らかの症状が出たらすぐに眼科受診してください。また、もしお子さんがいらしたら、子供の頃から強度近視にならないように、近視の進行を予防するような対策を講じておきましょう。これについては、このQ&AのNo.53、69を参考にしてください。

107. 硝子体出血 201604

 両眼とも近視が強くて、メガネをかけています。先月までは、右目はよく見えていたのですが、急に眼の中ですすをばらまかれたようになったと思ったら、まったくと言っていいほど見えなくなってしまいました。近くの眼科に行くと、「硝子体出血」と言われ、糖尿病が原因かもしれないが、はっきりしないと言われました。20年来の糖尿病で、数年前まで眼科にも通院していたのですが、眼底出血はあると言われるものの、重症ではないと言われていました。メガネをすればよく見える状態であまり変化がなく、引っ越しして以前通院していた眼科が遠くなってしまったこともあって、2年前から眼科通院を止めてしまっていました。今は飲み薬をはじめて1週間経ちましたが、一向によくなりません。激しい運動は禁止されています。このままずっと見えないままなのでしょうか。手術するなど、早く治すことはできないのでしょうか。(60男性)

 硝子体とは、眼球の中央側にある、水晶体と網膜の間の組織で、通常は透明です。そこに何らかの出血や混濁が生じますと、視力低下の原因になります。問題は、その出血がどこから生じたものかですね。急に出る比較的量の多い硝子体出血としては、糖尿病網膜症の増悪や、打撲などの外傷性のもの、網膜裂孔(網膜剥離)に伴うもの、以前に起こった網膜静脈分枝閉塞症からのものや、網膜細動脈瘤からのものなどが多いと思います。網膜剥離が原因のものでは、可及的速やかに手術しなければなりません。糖尿病網膜症の増悪でも急ぐ場合もありますが、網膜剥離ほど数日を争うことは多くはありません。網膜剥離以外では、しばらく経過をみてから改善傾向がなければ、観血手術となります。手術は硝子体手術といって、出血と一緒に硝子体そのものを取ってしまうものです。比較的高齢者(60歳以上)の場合やすでに白内障が進行している場合には、同時に白内障手術も行います。これは、硝子体を取ってしまうことにより、硝子体手術後に白内障が早く進行することになってしまうためです。手術を受けずに出血が吸収されることが最も良いですが、長期間にわたって眼の中に出血塊が残っているようであれば、糖尿病網膜症の悪化やさらなる病気に発展する可能性もあり、手術したほうが良いです。ただし、手術に伴う合併症や白内障の問題などがありますので、常にすぐに手術はしないのが基本的な考えです。しばらく経過を見ることや原因検索が大切になります。激しく動き回ることは、出血の増悪を引き起こすきっかけになる可能性もありますから、比較的安静にして、しばらく通院をお続けください。

106.病的近視による脈絡膜新生血管 201603

 学生時分から近眼が強くて、ハードコンタクトレンズをしていました。先日、急に右眼の中心が見えにくく歪んでしまいました。一部分に見えないところもあります。近くの目医者さんに診てもらったところ、眼の底の中心部分に出血しているとのことでした。目の中にお薬を注射する治療が必要と言われ、大きな病院への紹介状をもらいました。どんな病気なのでしょうか。私の眼は治るのでしょうか。もともと眼鏡をかけてもよく見えない眼で、コンタクトレンズが頼りだったのですが、今後もコンタクトレンズをつけられるでしょうか。もう片方の眼もなってしまうのでしょうか、心配です。(42歳女性)

 近視が強い方にはいくつかの眼の病気が出やすくなります。眼球自体の前後径が長くなることによる解剖学的な変化が病気の要因と考えられています。強度近視の人の約1割程度に、網膜の下の組織である脈絡膜から、新生血管という通常は存在しない血管が作られてしまいます。これを脈絡膜新生血管と呼び、そこから出血することにより見えない部分や歪みなどが出現します。そのまま放置しますと視力障害が残りやすく、数年後には当初よりも悪い状態になってしまうといわれています。ご質問者の病気はこれに相当すると思います。数年前までは有効な治療法がなかったのですが、現在はお勧めされたように血管内皮細胞増殖因子(VEGF)阻害薬というものを、眼の中に注射すると効果があることがわかってきました。通常は1か月おきに3回行い、しばらく様子を見るというやり方が一般的です。また、コンタクトレンズは、注射前後に一時的にやめたほうが良い場合がありますが、今後もずっとはめられなくなってしまうわけではありません。強度近視による脈絡膜新生血管が両眼性になる方は、私の調べた範囲では、15%程度のようです。治療に専念して、時々は良い眼のほうもしっかり検査してもらうことをお勧めします。