医療法人とつか眼科

名古屋市南区にある眼科クリニック。とつか眼科。

TEL.052-613-4001   〒457-0808 名古屋市南区松下町1丁目1番地

疾患Q&A

135. 術後にタバコを吸ってもよいですか?  201809

   先日、私の母が白内障の手術を受けました。67歳です。若い時分からタバコが大好きで、今でも1日に10本以上は吸っていると思います。手術した翌日までは、本人も禁煙していましたが、3日目にはいつも通りに吸ってしまっています。折角よく見えるようになったのに、傷口に影響しないかどうか心配です。いつから吸わせてもよいでしょうか?体に良くないことをいつも言うのですが、今まで、タバコを吸い続けてきたけど病気になったことは一回もない、と言い張り、やめようとしません。教えてください。(38歳、娘)

 手術後でなくてもよくありません。もちろん傷口の治りにも影響します。タバコがその病気の原因の一つであることが100%証明されている病気を列挙します。まず、喫煙者本人ですが、鼻腔・副鼻腔がん、口腔・咽頭がん、食道がん、肺がん、肝臓がん、膀胱がん、子宮頸がん、脳卒中、ニコチン依存症、歯周病、慢性閉塞性肺疾患(喘息・気管支炎・肺気腫など)、虚血性心疾患、腹部大動脈瘤、末梢性の動脈硬化、2型糖尿病、早産、低出生体重児・胎児発育遅延、がん患者の二次がん罹患、肺がん患者の生命予後、などがあります。100%とは言えないが、関係していると考えられるものは、急性骨髄性白血病、乳がん、腎細胞がん、大腸がん、子宮体がん、前立腺がん、認知症、虫歯、結核、関節リウマチ、不妊、術後合併症、骨粗しょう症、白内障、胃潰瘍、など、珍しくない病気ばかりで、数えますとキリがありません。また、受動喫煙(そばにいる人が吸ってしまう状態)では、脳卒中、肺がん、虚血性心疾患、乳幼児突然死症候群、小児の喘息、なども100%証明されています。つまり、ご家族も計り知れない影響を受けるということです。67歳で白内障の手術を受けなくてはいけなくなったのもタバコが関係している可能性がありますし、手術後の治りも悪くなりますので、喫煙はやめましょう。また、喫煙は、ニコチン依存症という病気です。自分でやめられなければ、禁煙外来を受診し、あきらめずに一刻も早く喫煙をやめましょう。ご家族様のためにもやめさせてあげてください。海外の先進国では、喫煙できるレストランはとても少なくなっています。

134. 眼からわかる認知症  201808

   85歳になる私の母のことです。周りのものが歪んで見えると言い出しました。そこで、近くの眼科に行くと黄斑上膜と言われました。しかし色々な検査から黄斑上膜のための変視ではないだろうということになりました。また、壁にいるはずのないクモがたくさん見えるとも言いだしました。確かに眼の病気もあるが、認知症の可能性があると言われました。眼の病気ではないのでしょうか。認知機能はそれほど悪くないと思うのですが、認知症なのでしょうか?(58歳、女性)

 レビー小体型認知症はアルツハイマー型認知症に次いで多いと言われる認知症の一つです。認知機能がそれほど悪くない時期にでも、幻視や錯視つまり、現実にはないはずのものが見えたり、物体が曲がって見えたりする症状が現れることが多いようです。黄斑上膜などの黄斑疾患では変視症と言って物が歪んで見える症状が出ることがあります。物が曲がって見えるところが少し似ていますが、幻視の症状は起こりません。レビー小体型認知症では、この幻視が特徴的で、いるはずのない虫や小動物、人の顔などが動きを伴って見えると言われます。ものを見る働きの中枢は後頭葉にあるのですが、その部分の血流が落ちるからではないかと推測されています。お母様の場合にも認知症の可能性があります。もちろん正しく黄斑上膜と診断されているようですから、眼科の病気もあるということだと思います。しかし、見え方の異常、特に幻視の症状をしめす眼の病気は基本的にないと考えられています。まずは内科や認知症サポート医を受診してみることをお勧めします。

133. 網膜振盪症(もうまくしんとうしょう)  201807

   先日、中学校2年生の息子がサッカー練習中に、ボールを右眼にぶつけました。近くの眼科を受診しました。網膜振盪症と言われ、もう2週間通院しています。本人は、直後は少し痛かったり見えにくかったりしたそうですが、今は何ともありません。目薬ももうつけなくてよいと言われていますが、まだ、通院したほうが良いのでしょうか?そもそも網膜振盪症ってどんな病気で、後遺症が残ることもあるのでしょうか?詳しく聞きたいです。(44歳、女性)

 網膜振盪症は、眼を強く打撲した場合に、眼の底の網膜の血行不良を起こした状態です。網膜は周りの健常な部分の色調に比べて赤くなく、やや白色の斑模様に見えます。網膜の比較的広範囲なものから狭い範囲のものまで大きさはさまざまで、また、起こる位置も打撲の仕方によって色々な場合があります。外力による直接の障害が網膜の特に外側の視細胞などに起こることや、脈絡膜という網膜の下の組織に血行不良が起こることによると考えられています。通常は一過性の問題で視細胞が再生して、多くの場合後遺症は残らず、経過を見ているのみで完治します。しかし、打撲の程度によっては、網膜振盪症と併発して網膜出血や硝子体出血があったり、網膜裂孔という網膜の裂け目が生じたりすることがあります。このような場合には止血剤が投与されたり、レーザー治療が行われたりします。また、打撲後壊死という強い外力によりその部分の網膜が機能しなくなってしまう状態もまれにあります。これは視細胞が再生せず、組織が壊死すると考えられています。網膜振盪症と見分けがつかないこともありますので、やはりしばらくは通院することが大切です。

132. 硝子体注射はいつまで続けるのか?  201805

   眼底出血と言われ、もう2年になります。初めは、すごく見えにくかったのですが、硝子体注射を打ってもらうとうそのように見やすくなりました。しかし、3か月ほどして、また見えにくくなりました。なんでも網膜の中心部にむくみが出たということで、再び注射をしました。その都度良くなって、視力が回復するのですが、もう4回も打ちました。今回も、注射してすぐに視力が回復しました。ただ、またしばらくすると再発するのかと思うと、一生打ち続けるのか、不安です。お金もかなりかかりますし、悩んでいます。この治療はいつまで続くのでしょうか?(58歳、女性)

 患者さんがお受けになっている硝子体注射療法は、2000年以前はほとんど行われていなかった治療方法です。血管内皮増殖因子という、新生血管を発育させたり血管から液体が漏れ出てくるのを促進させる物質を阻害する薬剤を、眼の中に注射する治療です。①網膜中心静脈閉塞症や網膜静脈分枝閉塞症といった眼底出血、②加齢性黄斑変性症、③近視性脈絡膜新生血管、④糖尿病黄斑浮腫、という病気で起こる黄斑浮腫(網膜中心部分のむくみ)を画期的に減らすことができ、病気の悪化を防ぎます。病気によって治療回数がかなり異なります。③の近視性脈絡膜新生血管では、多くの場合には1回で済んでしまうことも多いです。①の静脈閉塞症の場合には、数か月に1回程度数年行わなければならないこともありますが、やはり、1回で済んでしまうこともあります。眼底出血が消退すると多くの場合には、むくみが再発することが少なくなり、注射もそこで終了となる場合が多いです。④の糖尿病の場合には、効果があまりない場合には複数回で中止にして他の治療法に切り替えることがあります。近年は、初めに5回程度連続して打ち続けるやり方が増えてきました。その後も、効果がある場合には時々打つこともあります。しかし、永久に打ち続けることは少ないのではないかと思います。②の加齢性黄斑変性症の場合には、効果がある場合には、毎月注射する必要があったり、数か月から半年など注射間隔があくことがあったりしますが、完全に終了とならず長期間にわたり打たねばならない場合があることが推測されます。このように、病気によっては、長期間続けて注射する場合があります。患者さんの場合には、終わりがあると考えてよいと思います。ただし、比較的日の浅い治療法ですから、やり方は今後変わってくることもあり得ます。2018年現在、硝子体注射はなくてはならないとても価値のある治療方法ですが、時機を逸してしまうと効果が出ないことがあります。また、致死性の脳血管障害や術後眼内炎といった合併症も稀ですがありますので、利点と欠点をよく聞いたうえで、時期を逸することなく、注射を受け続けていただくことをお勧めします。

131. 主治医を替わるには  201804

   緑内障と言われて通院しています。10年以上通院しているのですが、担当の先生が替わりました。今までの先生は違う病院にいかれてしまいました。今度の先生はあまりよく説明してくれず、手術が必要だと言われます。少し質問すると説明してはくれるのですが、難しい言葉をたくさん言われてよく理解できません。さらに聞くと不機嫌そうに強い口調でお話しされるようになります。やはり私には合わないようなので、他の眼科に通いたいと思うようになりました。そのことを言い出すとまた怒られそうで、そのまま新しい医療機関へうつってしまってもよいでしょうか。今さしている目薬を持っていけばよいでしょうか。(72歳、女性)

 当院にも様々な理由で、他の医療機関(眼科)から移ってこられる患者さんがいらっしゃいます。主治医の先生との関係がよくないのは、とても残念なことです。ただ、人間関係でも合う人合わない人がいるように、患者さんとお医者さんとの間にも相性はあると思いますので、医療機関を替えたくなる気持ちもよく理解できます。医療機関を替わる時には、今までの診断と治療歴がわかる紹介状を書いていただくのが最善です。紹介状を持たずに受診すると今までの経過は患者さんの記憶でしかわかりません。特に罹病期間が長くなり、今までの治療歴がとても大切となる病気、眼科では、緑内障やぶどう膜炎といった病気の場合には、今までの病歴はとても重要な情報です。紹介状がないと、どのような薬をどれくらい使うと病気が良くなるとか、進行を抑えるとか、というような情報がわからなくなってしまいます。担当の先生が代わられても、以前の担当の先生が記載したカルテや検査データは残っています。できれば紹介状を書いてもらってください。どうしてもかなわない場合には、今までの治療歴を失うことはある程度覚悟しておくべきでしょう。もちろん、後医が前医へお手紙を送ることで情報を入手できることもありますが、患者さんがお願いして入手する情報の方がより詳しい可能性があります。よい関係性を持っていない医師へ紹介状をお願いするのはなかなか勇気のいることかもしれません。ですが、今後のことを考えると、病歴の把握はとても大切です。
一方、患者さんの通院している施設では複数の医師がいるように思いますが、どうでしょうか?もしそうであれば、その病院の相談センターかそういう部署がなければ、部長の先生に、新しく担当となられた先生ではない先生に担当医となってもらえないかを相談してみてください。新しい担当の先生に出会えるかもしれません。いずれにしろ、納得がいかないまま通院するのは病気の治療にも影響する可能性がありますから、替わることはやむを得ないことと思います。同病院で別の担当医を紹介してもらうか、紹介状をもらって他の医療機関を受診してください。

130. 日帰り白内障手術の実際  201803

   白内障と言われて通院しています。今度、右眼だけ手術をすることになりました。左眼はまだよく見えます。入院せずに済むそうですが、実際の手術はどれくらいの時間がかかるのでしょうか。仰向けでは30分ほどで腰が痛くなります。大丈夫でしょうか。眼の痛みはありますか。また、手術後は眼帯をしますか。病院にはどれくらいいるのでしょうか。(65歳、女性)

 日帰り白内障手術の実際についてお話しします。ただし、医療機関によって若干の違いがあります。まず、その施設で瞳を広げたり手術後の炎症を起こしにくくしたりする働きの目ぐすりを、頻回につけていただきます。これらの目ぐすりを受診前に処方され、医療機関に来る前に自宅でつけてきてもらうやり方もありますが、多くの施設では、眼科に到着してから始めます。約一時間程度、複数回目ぐすりをつけ続けて、それが終わってから手術室に入ります。私服のままの施設と簡単な術衣に着替える施設があります。ベッドに仰向けになってから消毒が始まります。仰向けの姿勢が苦手な方は、事前に主治医の先生に申し出ておくとよいでしょう。首に問題がなければ少しだけ体を横に傾けて行うことも可能です。手術時間は短ければ10分を切ることもありますが、難しい症例の場合には30分を超えることもあります。現在では特殊な症例を除いて全身麻酔などで眠らせて行うことは稀です。一般に症例に応じた麻酔(目ぐすりだけの場合や注射を併用する場合があります)をしますので、痛みはほとんどありません。手術後は眼帯をする施設が多いですが、保護メガネ着用で眼帯せずに帰宅することもあります。日帰りの施設では、一人で歩いて帰れることが基本にありますので、手術しない側の眼の見え方(眼帯するととても困る場合など)によっては、透明な眼帯をして手術直後からわずかに見えるようにして帰る場合もあります。滞在時間は、かなりばらつきがありますが、手術前の目ぐすりから含めますと、1時間半から2時間程度かかることが多いです。日帰り白内障手術は、20年前と比較しても短時間で終わる比較的全身への負担が少ない手術です。ただし、状況によっては入院して行わなければならない白内障手術もあります。施設による違いもかなりありますから、手術の詳細は、手術をしてくれるドクターや看護師さんに事前に確認しておくとよいと思います。

129. 眼窩骨折  201802

   高校2年生の息子です。野球部の練習中にイレギュラーバウンドを取り損ね、右目に当ててしまったそうです。見え方はそれほど悪くならなかったようですが、少し気分が悪くなり鼻血が出たとのことです。物が二重に見えると言って眼科を受診したところ、眼窩底骨折と言われました。様子をみて場合によっては手術が必要ということでした。どうしたらよいでしょうか?自然に治るものなのでしょうか?(44歳、母親)

 眼窩という眼球の周りにある骨の骨折です。野球のボールや人の膝や肘などで強く眼をぶつけた場合に、眼球に受けた圧力が周りの薄い骨を砕いてしまうと考えられています。眼窩の下側の骨である上顎骨が折れると眼窩底骨折、内側の骨である篩骨が折れると眼窩内側壁骨折と呼びますが、眼窩吹き抜け骨折や眼窩骨折などいくつかの病名が混在しています。割れた骨の間に脂肪組織が挟まる為に眼球がうまく動かない状態になります。このため物がダブって見えます(複視と言います)。ぶつけたのは眼なのに鼻血が出ることもよくある症状です。稀ですが、眼を動かす筋肉が挟まってしまう場合があり、これは緊急に手術が必要です。それを除けば通常は1週間程度様子をみて、眼球の動き具合が改善傾向にない場合、骨折が大きく将来眼球陥凹(目がくぼんでしまう)を起こしてしまうと想像される場合には手術が必要です。強く鼻をかんだり、眼を強く押したりしないように気をつけてください。鼻血も複視もない無症候性の骨折もありますので、正確な診断が望まれます。自然に治ることもありますが、1か月間は、同じところをぶつけないように気をつけて、経過を診てもらってください。

128. 眼の身体障害認定  201801

   夫のことです。事故で片目を失明しています。今まで良く見えていたもう一方の眼が1年ほど前に眼底出血してしまい、とても見えにくいと訴えています。今は、メガネをかけて0.7しか見えないとのことです。目に注射をしたり、お薬を飲んだりと、いろいろな治療をしましたが、これ以上の改善は難しいと言われています。そこで、身体障害者として認定してほしいのですが、主治医の眼科の先生はまだ認定できないと言われます。こんなに見えにくく、不自由を強いられているのに、認められないのでしょうか?眼の身体障害請求について教えて欲しいです。よろしくお願いいたします。(69歳、妻)

 眼に関する身体障害については、かなり厳しいのが現状です。視覚障害は、視力と視野(見える範囲)の2つの観点から決められています。視力だけで言いますと、片眼失明者の場合(視力0)には、良いほうの眼の視力が矯正して0.6以下にならないと身体障害者として認められません。お気の毒です。障害の度合いは、視力が悪くなるほどに等級が上がっていきます。また、視野の障害で認められる場合があります。こちらは両眼の視野障害が全体の50%以下になると認められます。これも、視野障害がさらに強くなっていくと等級が上がってきます。それぞれの眼が10度以内しか見えなくなりかつ全体の95%が見えなくなった場合には、2級が認められます(詳しくは視野検査の結果を計算して決めます)。視力障害と視野障害の合算で等級が上がることもあります。ただし、この決め方は、2018年1月現在のものです。今迄の障害等級の決め方を改善する新しい判定方法が出来てきています。数か月しますと、運用されると思いますので、詳しくは、眼科の主治医の先生にお尋ねください。繰り返しになりますが、現状では、両眼での見え方がかなり悪くならないと身体障害者としては認められません。これは、片眼失明者でも残った良い眼のほうがかなり悪くならないと認められないものであるということをご理解いただければと思います。

127. ブルーライトって何ですか?  201712

   先日、電気屋さんで勧められて大型のテレビを買いました。画面は大きくなって見やすいのですが、とても目が疲れるようになって長い時間見ていられません。ドライアイで近くの眼科に通院しているのですが、 ブルーライトが関係しているとも聞きました。ブルーライトとは時々耳にしますが、よくわかりません。教えてください。(63歳、女性)

 ブルーライトとは可視光線のうち波長の短い領域の光のことで、青色の光線です。LEDが開発されてから、最近は身の回りの商品にも応用されよく耳にしていることと思います。LEDは、熱に変わりにくく明るく寿命が長い明かりとして普及してきました。このためパソコンやスマートフォンの液晶画面、テレビ画面などにも、LEDが多数使われています。LEDの特徴として、このブルーライトが多量に放出されることが挙げられます。つまり、テレビからもブルーライトが多く出ています。最近の大型TVから出るブルーライトは、昔のブラウン管のテレビと比較すると、放出量が数倍にもなっている可能性があります。ブルーライトは波長が短いため、直進性が悪く光が散らばりやすい特性があります。したがって、ドライアイなどで角膜の状態が悪い方が見ると、眩しく感じ、液晶画面を見続けると疲れやすくなったりします。このような患者さんは、ブルーライトをカットすることで画面が見やすくなる可能性があります。ただし、ブルーライトはヒトの体にとって時に大切な光で体内リズムに関係します。午前中には太陽からのブルーライトを浴びたほうが良いです。したがって、常にブルーライトをカットしていると体に不調をきたすことになります。このQ&A No. 80もご参考にしてください。もちろん今回のご相談者が新しいテレビで疲れやすくなった原因は他にもあるかもしれませんので、眼科の先生に詳しく尋ねてください。

126. 水疱性角膜症  201711

   68歳になる私の母のことです。次第に見えにくくなって来て、涙が多いと訴えて、近くの眼科を受診しました。すると水疱性角膜症と言われ、角膜移植を勧められました。この病気はどういう病気で何が原因だったのでしょうか。10年ほど前に白内障の手術を受けたそうです。母を引き取ったのが3年前ですので、手術当時のことは詳しくわかりません。角膜移植手術をしないといけないのでしょうか?(42歳、娘)

 角膜には、もっとも内側に角膜内皮細胞という細胞があります。この細胞は角膜を透明に保つためのとても大切な細胞です(このQ&AのNo.94をご参照ください)。水疱性角膜症という病気は、角膜内皮細胞の機能が著しく低下してしまい、角膜が水膨れを起こして濁ってしまう病気です。視力が下がる以外に、異物感や流涙を訴えます。角膜の上皮が剥がれ易くなり、剥がれると激痛を感じます。原因は角膜内皮細胞の数が減ってしまったことによります。減ってしまった理由としては、日本ではそれまでに受けた眼の手術が原因の第1位となっています。以前の手術もしくは手術しなければならなかった状況によって角膜内皮細胞がかなり傷んでしまったと考えられます。その直後には、まだギリギリのところで限界を超えずに保っていたものが、その後継時的に(年齢や現在の眼の状態により)さらに細胞数が減少していき、限界を超えて少なくなってしまったために水膨れを起こしてきたと考えられます。残念ながらこの細胞は年齢が高くなるほどに数が減っていくだけの細胞で、再生しないと考えられています。治療に関しては、水膨れや眼痛を減らすために目薬をつけたり、軟膏を入れたりしますが、視力の回復は難しく次第に見えなくなっていきます。今のところ角膜移植手術以外に視力を回復する手立てはありません。見えにくいことと時々起こる痛みを我慢すれば、様子を見ていても構いませんが、年齢的には移植治療をお考えになられてはどうでしょうか。角膜移植も以前に比べれば、成功率も高くなっています。反対の眼の状況も考慮して、担当の先生とよく相談してお決めになるのが良いと思います。