医療法人とつか眼科

名古屋市南区にある眼科クリニック。とつか眼科。

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66. 網脈動脈閉塞症 201211

66. 網脈動脈閉塞症 201211

 私の父のことです。2週間前に突然右目が見えなくなったそうです。2日後に眼科を受診したところ、網膜中心動脈閉塞と言われ、回復不能と言われました。父は今まで元気でこれといった病気もしてなかったのですが、どうしてこんなことになってしまったのでしょうか。数日間点滴をしたそうですが、全く回復しませんでした。今は中心部分が見えず、外側に見えるところが少しあるだけということですが、眼鏡を作りなおしてもダメでしょうか。手術はできないのでしょうか。もう片方の目が同じように見えなくなってしまうことはないのでしょうか。(38歳、女性)

 網膜中心動脈閉塞症は、網膜を栄養している最も重要な中心の動脈がつまってしまい、網膜に血液がいかなくなってしまうものです。脳の血管が詰まった脳梗塞では、麻痺などの重症な後遺症が残ってしまうように、網膜の血流が途絶えると、非常に早く網膜の神経細胞が機能しなくなり、死んでしまいます。高度の視力低下をきたし、メガネや手術でよくなることはありません。血液が途絶えてからすぐにまた血流が戻れば、回復することもあります。この時間は数時間以内とされています。従って急激に視力低下を自覚してから、完全閉塞の場合1日以上たってしまうと回復することは難しいのが現状ですが、不完全閉塞の場合には回復することがよくあります。発症早期であれば血の流れを回復させるために、眼のマッサージをしたり、血栓を溶解するような点滴をしたり、眼の一部に穴をあけて眼圧を下げたりすることもあります。血流が途絶える原因としては、血の塊や脂肪の塊が動脈につまってしまったり血管が痙攣して収縮したりすることとされます。動脈硬化が基礎に考えられていて、高血圧や糖尿病などの全身疾患があることも多いですが、何ら基礎疾患がないこともあります。ですがやはり、若年者よりも高齢者がなりやすい病気です。血管の一部に奇形(5~10人に一人程度と言われます)があり、中心視力が低下しないこともあります。また、網膜動脈分枝閉塞症といって、中心動脈が閉塞するのではなく、その枝の細い動脈が詰まる場合もあります。この場合には閉塞した領域に応じた網膜が障害を受けて視界の中に一部見えない領域ができますが、失明することはありません。不幸にして、両眼とも網膜中心動脈閉塞症になる方もいらっしゃいますが、非常にまれです。網膜動脈閉塞症は、痛みや充血を伴わず、視力が下がるだけが唯一の症状ですから、急激に全く見えなくなった場合には、可及的速やかに眼科を受診して下さい。

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